総長挨拶


 ご門主様ご親修のもと、新門様のご出座、お裏方様のご臨席を賜り、「東北教区 東日本大震災現地追悼法要」をお勤めさせていただくにあたり、一言ご挨拶を申しあげます。

 

去 る三月十一日に発生いたしました「東日本大震災」は、ここ東北地方に甚大な被害をもたらしました。約二万人以上の方がいのちを落とされ、さらには多くの方 がたが、住居や職場・田畑をも失われました。また、目に見えない放射能の不安など、二重・三重の苦難を強いられております。宗門内においては、東北教区内 の寺院の本堂全壊、半壊、一部損壊が約二百ヶ寺、亡くなられた門信徒の方が約二百人との報告を受けております。ここにあらためて、被災された皆様に衷心よ りお見舞い申しあげますとともに、お亡くなりになられた方々とご遺族に対し、心から哀悼の意を表します。

宗 門では、地震発生直後に「緊急災害対策本部」を設置し、被災状況の把握とともに全力をあげて支援に取り組んでまいりました。また、仙台別院に「東北教区現 地緊急災害対策本部」を設置し、「災害ボランティアセンター」を立ち上げ、全国各地より多数の方々に応援いただいております。さらには、被災された方々の 受入れや、「義援金」「支援金」の募集など、物心両面にわたる支援に努めております。一日も早い復興を願い引続き宗門をあげて全力で取り組む所存でありま す。

さ て、本日は、ここ仙台国際センターにおいて、宗派主催のもと追悼法要をお勤めさせていただきます。先にも申しあげましたが、多くのいのちが失われたこと は、まことに言いようの無い悲しみを覚えることであります。私たちは、この度の震災によって、世の無常をあらためて痛感し、人間の力が、いかに小さいもの かを思い知らされました。便利さや快適さを求めたがために原発に依存してきた私たちの有り様をも気づかされたことであります。まさに今、本当の豊かさ、よ りどころとは何かを深く考えせられます。

親鸞聖人は、ご和讃において

「如来の作願をたづぬれば 苦悩の有情をすてずして」

とお示しいただいております。

私たちは、聖人のお導きによって阿弥陀さまのご本願に出遇わせていただきました。「苦悩の有情をすてずして」と願われた大悲心に触れることによって、小慈小悲もないこの私が、被災された方々に寄り添い、少しでも力になりたいと思う身となったのであります。

本日ご参拝の皆様には、お浄土に先立たれた方々を追悼するとともに、み教えに支えられ、阿弥陀如来のみ光に照らされて、お念仏を申しつつ、共に同じ道を歩む御同朋御同行として、残されたものの責務をともどもに果たしてまいりたいと思います。

本 願寺におきましては、九月からの親鸞聖人七百五十回忌法要、さらには、十一月八日の「東日本大震災 総追悼法要」も「被災されたすべての方々の悲しみに寄 り添い、その思いを分かちあって」との願いをもってお勤めさせていただきます。宗門が思いを一つにして、この困難をともに手を携えて乗り越えたく存じま す。

本日は亡くなられた全ての方をおもい、追悼の誠を表して法要を勤めさせていただきます。ご参拝まことにありがとうございました。